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佐渡・北條家住宅で過ごした二日間

国内外の共同オーナーが集まった、投資家ステイオーバーの記録

2026年下旬に、新潟県佐渡市の北條家住宅で、PlanetDAOの「ステイオーバー」を実施しました。

今回集まったのは、国内外の共同オーナーをはじめ、北條家のみなさん、運営会社、設計士など、20名を超える参加者です。

日本からだけでなく、フィリピン、シンガポール、台湾、アメリカからも、この機会のために航空券を取り、佐渡まで足を運んでくれました。

ステイオーバーとは

PlanetDAOでは、投資が集まったあと、修復工事が始まる前の建物に共同オーナーや関係者が集まり、実際に滞在する機会を設けています。

建物の中で時間を過ごし、周囲を歩き、地域の方々と話をする。実際に泊まってみると、図面や資料を見ているだけでは気づけないことが見えてきます。

この場所の魅力はどこにあるのか。
どのような形で残していくべきなのか。
訪れる人に、どのような時間を過ごしてもらいたいのか。

完成した施設を利用するだけでなく、その前の段階から現地に集まり、一緒に考える。それが、PlanetDAOのステイオーバーです。これまでにも、和歌山県那智勝浦町のお寺や、神奈川県葉山町の古民家で、同様の機会を設けてきました。

1日目 ― 北條家住宅の歴史に触れる

初日は、北條家住宅に集合し、参加者全員で自己紹介をしました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Massa Takamoto

一人で参加した方もいれば、家族と一緒に佐渡を訪れた方もいます。それぞれが、今回楽しみにしていることや、この場所で取り組んでみたいことを話しました。

その後、北條家のみなさんに住宅を案内していただきました。今後の修復・再生プランについて説明がありました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Massa Takamoto

北條家住宅には、代々漢方医として地域の暮らしを支えてきた歴史があります。

今回は、その記憶をたどる体験として、野草研究家の菊池はるみさんにお越しいただきました。敷地を歩きながら、専門家の案内のもとで食べられる野草を摘み、その特徴や効用、調理方法について教えてもらいます。

途中では、「食べられると思う野草を、自分で探してみる」というゲームも行いました。

参加者がそれぞれ摘んできた野草を、はるみさんに判定してもらいます。意外な植物が食べられたり、食べられそうに見えて実は違ったり。子どもも大人も夢中になり、とても盛り上がりました。

最後にいただいたのは、はるみさん手作りの野草のシフォンケーキとハーブティーです。北條家の歴史と、今も敷地に息づいている植物が、ひとつにつながるような時間でした。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Wesley Liu(花の写真)

築350年の建物で眠る

夜は、食事を囲みながらの懇親会。地元の銭湯にも足を運びました。
その後、希望者は寝袋を持ち込み、北條家住宅の母屋と長屋門に宿泊しました。

寝る前には、母屋の神棚の前に集まり、北條家住宅のこれからについて話しました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Massa Takamoto

どのような場所にしていきたいか。
北條家の歴史を、どのように未来へつないでいくか。
訪れる人に、どのような時間を過ごしてもらいたいか。

修復前の建物に泊まることができるのは、おそらく今だけです。

「この機会を逃したら、もう泊まることはできないかもしれない」と、北條家の娘さんも一緒に宿泊しました。

長い時間を重ねてきた建物の中で眠るのは、少し不思議な感覚でした。それでも、驚くほどよく眠ることができました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Massa Takamoto

2日目 ― 大雨で変わった予定

二日目は、北條家が近くに所有する田んぼで、田植えをする予定でした。

靴下のまま泥の中に入り、みんなで苗を植える。秋には、収穫にも参加できるようにする。そんな構想を考えていました。

ところが、当日は想定外の大雨。

何年も佐渡に通っている北條家のみなさんも、「これほどの雨は初めて」と驚くほどの降り方でした。

残念ながら、田植えは中止となりました。

そこで予定を変更し、今後、修復と活用を予定している蔵を、もう一度ゆっくりと見て回ることにしました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island

蔵に残されたものから、新しい体験を考える

蔵の中には、長い年月を経て残されてきた家具や道具があります。

古いものをすべて取り除き、新しく作り替えるのではなく、今あるものをできるだけ生かしながら、新しい使い方ができないか。

現地を歩きながら、参加者同士でアイデアを出し合いました。

たとえば、漢方医であった北條道益が使っていた薬箱を再現するという案。訪れた人が薬箱から野草を選び、自分だけのオリジナルハーブティーを作る。北條家の歴史を展示として眺めるだけではなく、自分の手で触れ、味わうことができる体験です。

また、米蔵に残されている、かつて米を貯蔵するために使われていた箱を撤去するのではなく、その構造を生かしながら、サウナやお風呂をつくるという案も出ました。サウナでは、北條家の敷地で採れた野草を活用できるかもしれません。

建物の中を歩きながら話していると、資料を眺めているだけでは生まれないアイデアが、次々と出てきました。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island

「リノベーション」ではなく、「リペア」へ

母屋や蔵を見て回る中で、共同オーナーのみなさんから、繰り返し聞かれた意見がありました。

「新しくきれいにしすぎるのではなく、今残っているものを、できるだけ残してほしい」

北條家住宅には、建物だけでなく、家具や道具、収納、生活の跡が残されています。どこで食事をし、どこに物をしまい、どのように日々を過ごしていたのか。建物の中を歩くと、かつての暮らしを具体的に想像することができます。

もちろん、宿泊施設として使うためには、設備を整え、安全性や快適性を確保する必要があります。一方で、整えすぎてしまえば、この場所に残っている時間の積み重ねや、北條家の暮らしの記憶が見えにくくなってしまうかもしれません。

共同オーナーから出た声を受けて、改修の方向性も変わっていきました。

「リノベーションではなく、リペアにしましょう」

大きく作り替えるのではなく、北條家住宅がもともと持っているものを丁寧に見つめ、必要な部分に手を入れながら、次の世代へつないでいく。今回のステイオーバーを通して、北條家住宅の修復と再生に向けた方向性が、少しずつ見えてきました。

田植えができなかったのは残念でしたが、その分、北條家住宅の未来についてじっくりと話す時間が生まれました。

北條家のみなさんから

二日間を終えたあと、北條家のみなさんから、率直な感想を聞きました。

初めての取り組みだったため、当日を迎えるまでは不安もあったそうです。

十分なおもてなしができるだろうか。
傷んだ建物の中で、どのような話し合いができるだろうか。

雨のため予定していたプログラムにも変更がありましたが、そのぶん、参加者のみなさんと丁寧に意見を交わすことができたと振り返っていました。

特に心に残ったのは、共同オーナーのみなさんが、利益やリターンだけを目的にしているのではなく、「北條家住宅を未来へ継承したい」という思いを持って関わってくれていると感じられたことでした。

文化財をどのように生かし、未来に残していくのか。
佐渡の自然や歴史、漢方医として地域を支えてきた北條家の背景を、どのように修復・再生の計画に反映していくのか。

神棚の前で、多くの人が北條家住宅の未来を真剣に語り合ってくれたことを、ご先祖さまもきっと喜んでいるのではないか。

北條家のみなさんの、その言葉が印象に残りました。

共同オーナーからの声

今回のステイオーバーに参加した共同オーナーの一人から、次のような感想が寄せられました。

北條先生と同じフェリーで佐渡へ渡り、北條家のご兄弟と一緒に北條家住宅へ向かいました。道中では、絶滅の危機にあったトキのことや、トキを再び増やすために地域の農家のみなさんが農業のあり方を変えてきたことを教えてもらいました。佐渡に着いて間もないうちから、北條家住宅は単なる建物ではなく、土地や集落、そして周囲に生きるさまざまな存在と深く結びついた場所なのだと感じました。

野草摘みでは、敷地を歩きながら気になった草や葉を選び、はるみさんに食べられる植物か、毒のある植物かを教えてもらいました。「これは食べられます。でも、あまりおいしくないですね」と言われるたびに、みんなで笑いました。残念ながら、私が選んだ植物には毒がありました。しばらく忘れていた好奇心が戻り、子どものような気持ちで世界を発見しているようでした。

二日目には、母屋や蔵を歩き回り、そこに残されているものから新しい活用のヒントを探しました。特に印象に残っているのは、米蔵の二階で見つかった古いアルバムを、北條家のみなさんが一緒にめくっていた時間です。同じ部屋には、代々、北條家に嫁いできた女性たちが持参した嫁入り道具の箪笥も残されていました。

北條家住宅には、建物だけでなく、たくさんの歴史や記憶、感情が残っています。もともとこの場所にあるものを大切にしながら、新しい人やエネルギー、資源が地域に加わっていく。そんなプロジェクトになればと思います。

Two Days at the Hojo Heritage on Sado Island写真提供:Massa Takamoto

おわりに

雨に見舞われた二日間でしたが、予定どおりに進まなかったからこそ、建物の中で立ち止まり、北條家住宅のこれからを考える時間が生まれました。

築350年の建物の中で眠ること。
敷地に育つ野草に触れること。
蔵に残された道具を見ながら、新しい使い方を想像すること。
神棚の前で、未来について語り合うこと。

そして、何かを新しく付け加えるだけではなく、すでにここにあるものを、どのように残していくかを考えること。

今回のステイオーバーではさまざまなアイデアが生まれ、同時に、北條家住宅の魅力は、新しく作るものだけにあるのではないということも、あらためて確認できました。

今後は、今回出たアイデアや意見をもとに事業計画を策定し、修復・再生のプランを更新していきます。

「リノベーション」ではなく、「リペア」。

北條家住宅が積み重ねてきた時間を大切にしながら、共同オーナーのみなさんや地域の方々とともに、この場所を未来へ手渡していけるよう、一歩ずつ準備を進めていきます。

北條家住宅のこれからを、引き続き見守っていただけたら嬉しいです。

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北條家住宅プロジェクトでは、2026年7月22日まで出資を受け付けています。

北條家住宅の修復と再生に共同オーナーとして参加をご希望の方は、こちらのページより詳細をご覧ください。

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