築120年の廻船問屋を「倉敷の日本遺産を体感する宿」として再生へ

株式会社Planet Labs(本社:東京都千代田区、代表取締役:西村環希、以下「Planet Labs」)は、文化財・歴史建造物の再生を地域とともに進める新たな支援プログラム「Supported by PlanetDAO」を開始いたしました。その第一弾として、岡山県倉敷市下津井にある築120年の歴史的建造物「中西家住宅」を対象とした資金調達ラウンドを本日より開始いたします。
中西家住宅は、修繕費として約3億円が試算されるなど維持が困難な状況にあり、地域の大きな課題となっていました。本プロジェクトでは、株式会社あかつきを中心に、地域企業が共同出資して設立予定の「下津井未来共創株式会社」が運営主体となり、歴史的建造物の保全・再生を目指します。再生後は、宿泊・文化交流・地域体験の拠点として活用し、「300年先も暮らし続けられる町」の実現に向けて、地域内で価値が循環する仕組みづくりを進めてまいります。
取り壊し寸前だった築120年の「中西家」──下津井の歴史を象徴する名家

倉敷市下津井は大阪と北海道を結んだ経済動脈の北前船の寄港地として賑わった商港地です。中西家は、江戸から明治期にかけて下津井の発展を支えた廻船問屋(荷主と船主の間に立って貨物輸送を取り次いだ商業者)の名家であり、独特の意匠と伝統工法が今なお残る歴史的建築です。
しかし、空き家となった後は急速に老朽化が進み、2017年には「倒壊の危険があるため、駐車場や分譲地にするために取り壊す」という案まで挙がっていました。
地域の象徴でもある中西家を守りたいという思いから、行政・NPO・地域住民が協力し合って話し合いを重ね、辛うじて取り壊しを回避。
しかし、約3億円と試算された改修費用の重さから、再生には着手できないまま、長い年月が過ぎていきました。
※この約3億円という金額は、なんば建築工房の社長および現場監督が経験に基づいて概算したもので、母屋・平家・二階建て家屋・蔵・外構などを合わせた総額です。(※当時の計画内容や建築基準法改正、資材高騰などが見積に影響しています。)
移住者が紡ぐ「300年後の下津井をつくる挑戦」
2021年に東京から下津井へ移住した本プロジェクト発起人・長谷川氏は、地域の温かなつながりに支えられながら暮らす中で、中西家が歩んできた長い歴史と、これまで地域の人々が幾度となく保存に奔走してきた背景を知るようになりました。「この建物だけは未来に残したい」と願い続けた住民の想いに触れたとき、長谷川氏は「中西家の再生は自分に託された使命である」と強く感じたといいます。
その想いを形にするため、2023年には地域の未来づくりを担う事業体として「株式会社あかつき」を設立。翌2024年には、中西家に連なる古民家の一部を改修し、宿泊施設「下津井宿 風待汐待」をオープンしました。企画から事業計画、立ち上げまでを推進し、地域の協力を得ながら事業をスピーディに軌道に乗せることに成功しました。
こうした小さな成功体験が積み重なるたびに、「中西家の本格再生も決して夢ではない」という確信が深まったといいます。本プロジェクトは、下津井に暮らす一員として、そして未来へバトンをつなぐ担い手としての覚悟のもと、“300年後も人が暮らし続けられる町をつくる”というビジョンを掲げ、これから本格的に推進していく取り組みです。
Phase I 活用計画(宿泊・文化交流拠点の整備)
本プロジェクトの Phase I では、中西家住宅内のうち 2棟の建物を改修し、宿泊施設と日本遺産を体験できる文化拠点として整備します。
開業は 最短で2027年1月を予定しています。
対象と整備内容
1. 二階建て家屋
下津井・児島エリアの文化や歴史を深く体感できる宿泊施設として再生します。コンセプトは 「倉敷の日本遺産を体感する宿」。歴史的情緒と現代的な快適性を兼ね備えた空間へと改修します。
2. 蔵(ニシン蔵)
音楽・食事・コミュニティイベントを行う多目的スペースとして活用します。
地域に根付く「下津井節」の集い、瀬戸内の食文化を楽しむ「味わう航路」プログラムなど、文化継承と交流を生み出す場として整備します。
Phase I 支援募集概要
本ラウンドで調達した資金は、宿泊機能および日本遺産体験の場としての整備に必要な改修工事費に充てられます。
- 資金調達目標:20,000,000円※
- 申込期間:2025年12月3日〜2026年2月11日
- 支払期間:2025年12月3日〜2026年2月18日
※中西家全体の改修には約3億円規模が必要と見込まれていますが、Phase I はその一部のみを対象とした段階的プロジェクトです。母屋・平家・蔵跡は今回の範囲に含まれておらず、Phase I の総事業費は約5,500万円を想定しています。
支援プランと特典概要
- サポータープラン 10,000円〜
- 四半期ごとのプロジェクト進捗レポート(メール配信)
- フレンドプラン 100,000円〜
- 四半期ごとのプロジェクト進捗レポート(メール配信)
- 1泊無料宿泊(年末年始・GW・お盆を除く)
- エクスプローラープラン 300,000円〜
- 四半期ごとのプロジェクト進捗レポート(メール配信)
- 1泊2食付き(4名まで**、昼食・夕食)の無料宿泊* +選べるアクティビティ1種(年中利用可)
- Heritage Plan – from 500,000 yen
- 四半期ごとのプロジェクト進捗レポート(メール配信)
- 1泊2食付き(4名まで**、昼食・夕食)の無料宿泊* +選べるアクティビティ1種(年中利用可)
- 他の宿泊予約が入っていない日に限り、毎年1泊ご利用いただけます。*(清掃費やアメニティ費などの実費はご負担いただきます。)
* 無料宿泊特典や毎年1泊の権利については、施設オープン日から5年以内にご利用いただけます。
* 追加料金にて人数追加が可能です。
株式会社あかつきが運営する築70年を超える古民家の宿「下津井宿 風待汐待(かぜまちしおまち)」の宿泊利用者の声
なんて美しい場所でしょう。家の造りの職人技、美味しい地元のお茶、美しいカップや皿など、細部へのこだわりが随所に感じられました。(オーストラリア)
とても美しく静かな場所で、魅力的な漁村です。宿泊施設は完璧で、期待以上でした。おそらくAirbnbで最高の滞在の一つです。ホストはとても親切で気配りが行き届いています。日本に戻った際には必ず再訪します。(ニュージーランド)
瀬戸内の風と汐を感じる宿。ここは素晴らしい宿泊施設です。オーナーは気配りが行き届いた方で、全てが完璧でした。冗談抜きで!(台湾)
『Supported by PlanetDAO』とは
PlanetDAOがPlanet Labsが2024年より取り組む寺院や古民家など歴史的建造物を小口出資で再生・運営する仕組みです。収益分配だけでなく意思決定にも参加でき、用途継続や公共性は種類株式で担保し地域と協働し、価値を守りながら持続的な活用を実現しています。
『Supported by PlanetDAO』は、Planet Labsからは、PlanetDAOの提供ではなく、資金調達支援のサポートを行うというものです。既に他チャンネルでの資金調達の目処や実績があるプロジェクト向けのサポートです。
PlanetDAOでは、これまで和歌山県那智勝浦町の築170年の寺院および神奈川県葉山町の古民家を対象にPlanetDAOを通じた資金調達の仕組みを提供し、それぞれのプロジェクトで各100名を超える出資者より各約4,000万円の資金調達を達成しています。世界各国23カ国の約200名からの出資をうけています。2025年秋より佐渡の登録有形文化財の北條家住宅、那智勝浦の無住職寺院のプロジェクトを開始しています。
Planet Labsが対象とする日本の歴史的建造物は、地域の象徴やコミュニティの拠点として重要な存在です。しかし、こうした建物は、一般の個人や民間企業への譲渡や資金提供を受け入れるにはリスクが大きく、地域単独では運営体制や資金の確保が難しい状況が続いています。そのため、建造物の保全は多くの地域にとって深刻な課題となっています。このような背景のもと、Planet Labsは小口投資の仕組みを通じて、国内外の投資家コミュニティが地域と協働しながら、維持が困難な歴史的建造物の持続的な保全・活用を支援するモデルを提供しています。
関係者コメント
株式会社あかつき 代表取締役 長谷川達也(はせがわ たつや)
下津井に移住して4年が経ちます。縁もゆかりもなかった私を温かく迎え入れてくれた地域の方々のおかげで、いまでは“この町の未来のために働きたい”という思いが自分の中心にあります。中西家の歴史や、保存のために地域の方々が行ってきた努力を知るたびに、この場所を未来へつなぐことは、自分自身に託された使命だと強く感じるようになりました。
中西家は、下津井が海運で栄えた時代を象徴する建物であり、地域の記憶が積み重なった文化遺産です。しかし、少子高齢化や空き家の増加で、地方では歴史的建物を守り続けることが非常に難しくなっています。一方で、瀬戸内地域には日本遺産を中心とした豊かな文化やストーリーが数多く残っており、国内外の人々にとってかけがえのない体験の場になる可能性を秘めています。
2023年に株式会社あかつきを設立し、翌年には中西家に隣接する古民家を改修して『下津井宿 風待汐待』を開業しました。企画から事業計画、開業準備までほぼ一人で進めてきましたが、多くの方の支えのおかげで、地域に小さな光を灯すことができたと感じています。今回のプロジェクトは、その小さな光を“未来へ続く大きな灯り”にするための次の挑戦です。
私が目指すのは、“300年先も人が暮らし続けられる下津井”をつくることです。中西家の再生は、そのための最初の一歩です。この場所が、地域の誇りであり続け、世界中の人々が日本の文化や歴史を深く感じられる拠点になってほしいと願っています。
ぜひ、この挑戦に力を貸していただければ幸いです。皆さまと一緒に、未来の下津井をつくっていきたいと思っています。
株式会社Planet Labs 代表取締役 西村 環希(にしむら たまき)
長谷川さんと初めてお話をしたのは、約半年前のことです。中西家住宅に向ける強い情熱と、すでに地域で実績を築いてこられた姿勢に触れ、私たちPlanet Labsとしてもぜひ力になりたいと思いました。
Planet Labs はこれまで、PlanetDAO という仕組みを通じて、所有や維持に課題を抱える全国の文化財・歴史建造物の保存と活用を、“共同所有”という新しいモデルで支えてきましたが、今回の中西家プロジェクトは、すでに地域の中に、長谷川さんを始めとした旗振り役がおり、すでに実績もございます。そこでPlanet Labsとして初めての『Supported by PlanetDAO』プロジェクトとして、長谷川さんを全面的に応援することを決めました。
中西家の再生は、単なる建物の復旧ではありません。“300年後の下津井をどのように残すのか”という、壮大な未来創造の挑戦です。長谷川さんの取り組みは、地域文化を未来へ紡ぐ新しいモデルの象徴になると感じています。
Planet Labsとして、この挑戦に関わらせていただけることを心から光栄に思います。そして、多くの皆さまと共に、この物語の続きを創り上げていけることを願っています。
会社概要
株式会社あかつき
代表者:長谷川 達也
所在地:岡山県倉敷市児島上の町1丁目11番44号
事業内容:下津井にある「旧中西家再生プロジェクト」を推進。旧中西家を活用した「下津井宿風待汐待」( https://kazeshio.com/ja/ )を2024年7月に開業。
株式会社Planet Labs
文化財や歴史的建造物を次世代に引き継ぐための仕組み「PlanetDAO」の企画・運営を行う企業です。
設立:2023年11月
代表者:西村 環希
所在地:東京都千代田区平河町2-5-3 MIDORI.so NAGATACHO
事業内容:歴史的建造物の再生・運営事業
ウェブサイト:https://planetdao.world/